ラブ・セラピー (シルエットディザイア)Christine Flynn/著 若菜真弓/訳
(1988/01) 156ページ
レイチェルはホッケーチームのトレーナーになったつもりで氷の上を走りまわる選手ひとりひとりの動きを見守っていた。ふと、黒髪のかかるうなじのあたりに熱い視線を感じて振り返る。膝の怪我で試合を休んでいるスター選手エリックの視線だ。オリンピックのフィギュアスケートで金メダルをとった彼女も、いまはトレーナーを目ざしているスポーツ・セラピスト。彼の膝を一カ月半で治したらチーム・トレーナーにしてもらえる。だが困るのは、エリックが自分の好みのタイプだということだ。週刊誌には、彼は小柄なブロンドの女性が好きだと載っていたのに、背の高い黒髪のわたしを、どうしてあんなに見つめるのだろう?彼がその気になったら、わたしはすぐだまされてしまいそう。なにしろ、リハビリは彼の自宅で行うことになるのだから…。期待と不安を前にして、レイチェルはふっとため息をついた。